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あざらしとペンギンの問題

主に漫画、数値計算、幾何計算、TCS、一鰭旅、水族館、鰭脚類のことを書きます。

Perish or Perish

私のtwitterアカウントを見ていた方はご存知かと思いますが、SC2016秋の新刊を落としました。

まず、「帰宅演習・補遺」に関しては、事前に計画上の無理が生じていたのが分かっていたので、そもそも出さないという結論になりました。これは今回は出さなかったという意味でなく、将来的にも本という形で出す予定がなくなったという意味です。補遺はその名の通り「帰宅演習」の後日談として同じ本で出すことを考えていたもので、12pという分量と当時の進捗から言って絶対に無理と判断したために外したものでした。しかし、自分としては好きなキャラクターの日常エピソードで是非描きたいと思っていたので、次のイベントで出そうと考えていました。内容的に漫画と小説の中間のような形式がふさわしいと考え、外装は同人小説のようにすることを予定していました。しかし、結局本は出ませんでした。

そして、あんハピ♪本「Partageons l'Oiseau Bleu」ですが、これだけは死んでも出すと意気込んでいたにも拘わらず、諸事情で当日まで作画が終わらないという状況でした。最終的には池袋のダイスで作業をすることになりました。そして、やっとできたと思って印刷・製本のために会場近くのキンコーズでスキャナにかけたところ、望みの出力が全くといっていいほど出ないということがわかりました。実はそれは家のスキャナでも過去にやって上手く行かなかったところであり、業務用の機械だからといって上手くいくわけではないということを思い知ることとなりました。そもそも原稿が水彩紙という特殊なサイズであったため原寸印刷ができず、仮にスキャンできたとしても自分では上手く印刷ができなかったでしょう。極端なことを言えば携帯カメラで撮影して適当にいじった方がちゃんとした出力が得られたと思います。これは私が印刷を理解していなかったという以前に、スケジュールに無理があって別の方法が取れなかったことがそもそもの問題でした。

共通して言えることは、私にスケジュールを管理する能力が全くと言っていいほどないということでした。

もう一つの事情としては、9月以降私の体調、精神状態が思わしくない方向に進んできているということがあります。先日医者に言って状況を伝えたところ、薬が1日10錠に増えました。診察費と薬代を合わせるとBDが1つ買える値段です。また、遅刻や欠勤が増えたことから給料が減らされているので、ダブルパンチといったところです。前からあった体の脱力も増えて、朝動けないために遅刻するばかりでなく、注意していないと些細なことでバランスを崩して転倒することが多くなり、日中の路上で天を仰いだとき、もうすべてがどうでもいいという鰭分になりました。立ち上がろうにも捕まるところがないとどうしようもなかったので、路上を匍匐前進してなんとか立ち上がりました。あざらしが匍匐前進をするのは当然です。ともかくこれが薬の副作用かあるいは離脱症状に関係していることはほぼ間違いなく、大きい病院で改めて診察を受けることになりました。MRIは核磁気共鳴を利用するある意味で馴染み深い機器ですが、もし受けるとなった場合どれくらいのお金がかかるのだろう?というのも悩みの種ではあります。もっとも、あざらしのMRI画像というのはそれは貴重なデータになるでしょう。MRIからの立体復元は私の専門分野の一つですので、もしデータが手に入ったら調べてみたいと思います。

私はもうスリーアウトに達してしまいました。同人活動を続ける資格が失われたと言って差し支えないでしょう。仕事と体調のことも原因の一つではあります。また、私はプログラマとしてもっと高みを目指さなければなりません。

以上の理由で、私は同人活動を当面の間休業します。

私の最後の作品は、C91で頒布される『NEW GAME!』 FAN BOOK 「ひとつ夢がかないました!」に寄稿する「はじめてのOpenGL」という4コマ漫画となります。それすらも落としそうなのですが。

もし復帰するとしたら、早くとも来年のよんこま小町になるでしょうか。前に言ったよんこま文化祭のように狭い範囲で好き者が集まってやるイベントがなかなか楽しかったので、私も4コマ漫画が好きなので出してみたいと思ったというのがあります。もちろん現時点では未定なので、来年の初めには今後の鰭生も含めて決めるつもりです。その頃私は宮崎あたりにいることでしょう。

帰宅演習について

帰宅演習は元々テレビ神奈川で放送されている「キンシオ」という番組をヒントにして生まれました。最近はアニメはインターネット配信で観ることができるため、HDDの残りがなくなったこともあり、録画することは少なくなっていました。私がアニメをあまり観なくなり、あんハピ♪を繰り返し観ているという事情もありますが。その中でずっと録画している番組が「キンシオ」と「水曜どうでしょう」です。特にキンシオは音楽の問題もあってソフト化が難しいことから、テレビ放送が事実上唯一の視聴方法です。

キンシオという番組がどういうものかというと、特定のテーマに沿って吉祥寺在住のイラストレーターであるキン・シオタニが散歩をする番組です。行く場所は多くがなんでもない街で、時にはただの住宅地ということさえあります。大雑把に言えば「モヤモヤさまぁ〜ず2」と「ブラタモリ」の中間のような番組です。私はキン・シオタニの旅人としてのスタンスに共感し、何度かイベントに行って生の話を聞いたりしただけでなく、様々な場所を旅したりもしました。日本で行っていない都道府県は宮崎県と鹿児島県の2つであり、それも正月あたりに行こうと考えています。また、私は「駅メモ」をやっているため、路線を取りに行くという目的も兼ねて、また利用したことがないソラシドエアや「さんふらわあ号」に乗りたいということもあります。実際に乗れるかは日程と予算と空席との相談になりますが。

しかし、近場を散歩するというのもまた一つの旅だと私は思います。近場だからこそ知らなかった物や景色を見たとき、そこには遠くに旅に行って見るのとは違った「発見」があります。新興住宅地とはいえ元は丘陵地や原っぱだったり、江戸時代などに開梱された農地だったりするわけで、ふとしたところにそれらの名残があったりするものです。また、そのような地域にもちゃんと歴史があり、保存されている箇所も少なくありません。普段は見落としがちなところですが、よく見ればいろんなものがそこらにあるというのが、近場を旅することの楽しみと言えましょう。

もう1年前になりますが、C89で頒布された帰宅部活動記録合同誌「帰宅第一」にて、私は「OTCの謎」という漫画を寄稿させていただきました。本に入るという形では私にとって初めての漫画でした。そこで描いたエピソードは、私が同じ2015年に北海道紋別市のオホーツクとっかりセンター(以下、OTC)に行った経験が元になっています。紋別は北の方角では家から最も交通事情的に遠い市であり、あざらしを見るという目的でそこまで行ったことは私にとって大きなことでした。元々考えていたプロットを蹴ってまでOTCの謎を描いたのは実際に経験したことを描きたいと思ったからでした。私にギャグセンスがなかったからというのもありましたが。

その当時、私はいろいろあって大変な状況でしたが、ふと舞い込んできたのがC90の申し込み締め切り迫るという情報でした。OTCの謎は奇を衒い過ぎた部分もあったと思っていたので、今度は真剣勝負で自分の帰宅部を書こうと思いました。そこに近場の日帰りできる場所からの帰宅という考えが重なり、「帰宅演習」という構想が生まれました。タイトルは「帰宅第一」が大学の講義名に似ていたことからの類推と書こうとしていた内容とを合わせて決めました。

最初に考えていたスタート地点は、川崎市高津区の久地円筒分水でした。そこから等々力渓谷を通り、多摩川台古墳群を経て田園調布に至るルートを考えていました。しかし、ただルートを巡るだけでは演習として成立しないので、もう少し何かが欲しいということで、水曜どうでしょうのサイコロの旅が頭に上りました。そのスタート地点を考えたとき、私が思い出したのが横浜市瀬谷区にある「宮沢六道の辻」で、これはキンシオで知ったものでした。帰宅演習を描くにあたっては、もちろん現地調査を行いました。その中で発見したものもいくつかあり、いい散歩になりました。

話を作るに当たってキャラ付けは次のように決めました。原作のキャラと比べて違和感があったらごめんなさい。

  • 桜:変な計画を思いついては皆を振り回す。彼女の台詞から話が始まる。
  • 夏希:ツッコミ役。桜の思いつきには乗り気でないので、違う方向を向いていることが多い。
  • 花梨:【可愛い】
  • 牡丹:強い。ジャ○プ脳。
  • クレア:何でも金で解決。花梨への愛がヤバい。基本はボケだが手厳しいツッコミもする。

本編のネタについて少し説明しますと、最初に出た目で行った「二ツ橋」は、徳川家康が実際に和歌に詠んだ橋であり、帰宅部本編のネタに絡めたところもあります。そもそもすごろく自体本編の扉絵にあったものです。ソボレフ埋蔵定理はクロム酸ナトリウムを意識しています。と作者があまり説明するのは野暮なので、帰宅演習を購入された方は燃やしてなければ読み返してみると何か発見があるかもしれません。なお、本編は12月を目処に未完成版、完成版ともに公開予定なので、未購入ならば少しお待ちください。

このようにかなり思い入れのある帰宅演習ですが、結局C90の段階で未完成のまま頒布したのは以前に書いた通りです。完成版(と言いつつ重大なミスが発覚した)は未完成版購入者のうち半分にはお渡ししました。あと1人は直接お渡しに行く予定です。とりあえず半数に行き渡ったなら上々と言ったところでしょう。値段については、未完成版が印刷費200円のものを200円で売ったので損益はほぼゼロですが、完成版は1冊900円ほどかかっているのでどうしたところで大赤字です。完成版の本はあくまで未完成版購入者様に配るために剃ったので、最初から利益を見込んでいなかったのが実際です。SC2016秋では新刊を落としたので唯一の頒布物となりましたが、手に取ったのが1人でもちろん1冊も売れませんでした。この辺の事情は同人活動について思うところがあるので後で書くことにします。

帰宅演習は元々本とは別に私が勝手にやっていたことが元になっているので、実は描けるネタはいくらでも生み出すことができます。なので、今後はウェブで不定期にやっていきたいと思います。帰宅演習・補遺についても自分ではちゃんと話が書けたと思っているので、同じように公開したいと思います。順番的にはこちらが先になるでしょうか。

あんハピ♪本について

あんハピ♪」という作品は今や私にとっては空気と同じようなものです。当たり前にあって、なければ生きられない、それが私にとってのあんハピ♪です。最近でいうと映画が公開された「きんいろモザイク」は大好きな作品で、これを書いている時点では2回劇場に行っています。しかし、あんハピ♪はもはや好きという次元を超えた存在です。はなこが喋った瞬間脳が溶け、映像だけ観ても音声だけ聴いても優しさに満たされます。原作とアニメでは目指しているところが違うと感じますが、両方ともに良さがあります。正直を言えば、原作は1巻を買ったきりですごろくまでは知っている程度だったのですが、フォワードでは珍しく知っている漫画のアニメ化ということでそれなりに期待はしていました。そして、完全に沼に落ちました。原作はアニメに合わせて集めましたが、アニメでは随分とマイルドに描かれていると感じました。しかし、原作からも漏れ出る優しさはあんハピ♪そのものでした。

あんハピ♪がいわゆる日常系と一線を画すのは、台詞やアニメの歌詞にもある通り、行動することで道を開くというテーマがあることです。勘違いすべきでないのは、あんハピ♪はいわゆる優しい世界ではないということです。むしろ世界は彼女たちにとって厳しいと言っていいでしょう。優しいのは彼女たち自身です。彼女たちは皆周りのことをよく見ていて、誰かが落ち込んでいたら単純に手を差し伸べるというより、時にはそっと、時には大胆に行動して相手を支えようとします。例えば、9話でヒバリが帰り道で落ち込んでいたとき、それまで何の素振りも見せなかったはなこが突然ヒバリの前に走り込んで、お泊りを提案するというシーンがあります。はなこもぼたんも異変にちゃんと気づいていたのです。そこでもし「悩みがあったら話して」と言ったら、ヒバリなら悩みなんてないとでも言ったところでしょう。そこを有無を言わせずお泊りに持ち込んだのははなこの作戦だったのかもしれません。このシーンに関してシルバーリンク展で絵コンテを見ましたが、意図的に変えられいたようです。絵コンテでははなこはヒバリの前に飛び出した後に少し考えてから台詞を言うことになっていたのですが、アニメでは時間を置かずに言っています。もし前者だったとしたら、はなこはヒバリに何とかしたくて考えなしに飛び出した、ということになるでしょう。確かにこちらもはなこの性格的に考えうる行動です。しかし、アニメの方では思いついた時点で飛び出したか、それ以前から言うつもりでいたかということになります。おそらくずっとヒバリのことを考えて出した彼女なりの答えだったのでしょう。このように、あんハピ♪のキャラクターは相手のことを思いやって行動を決められる子たちなのです。

ちょっと語りすぎましたが、私があんハピ♪本「Partageons l'Oiseau Bleu」(自分でもよく名前を忘れる)で描きたかったのは、はなこはちゃんと相手のことを見て、相手の心を思いやって行動できる子であること、友達をしっかり支えているということでした。上に随分と書きましたが、この話は私ととしてそれだけの思い入れを持って作りました。特に、はなこの「迷惑かけていいんだよ」は作品を象徴とする台詞としてそれありきで話を考えました。

形式については、当初は普通に漫画を考えていましたが、帰宅演習で散々苦労したことを鑑みて、絵はアナログで描くことにしました。そのために選んだのが水彩色鉛筆という道具です。選んだ理由としては私が画材をあまり持っていないこともありますが、あんハピ♪の優しい空気感を出すには水彩で描くのが適当であると考えたからです。アニメでも背景は水彩腸でしたね。そして、水彩用の画材として私が唯一持っていたのが水彩色鉛筆でした。水彩色鉛筆は色鉛筆と同じように描いた後、水で塗ると水彩になるというスグレモノです。単に水彩絵の具の代用品というのではなく、色鉛筆のタッチを生かしたり、先を水につけて描くとクレヨンのような質感になったりと、使い方次第で様々な表現を可能にする面白い画材です。ともかく、私は鉛筆と水彩色鉛筆を使って描くことを決めました。

その結果、失敗に終わりました。スキャナでデータを取ろうとしたところ、鉛筆の薄い線も水彩の淡い色調も全部飛んでしまったのです。うそだろおい!とスキャナの設定を調整したりパソコン上で色を調整したりしましたが、全く上手くいきませんでした。最終的にはiPadのカメラで撮影してデータとして取り込むことまで考えたところで、私は諦めました。もうサークル入場時間はとっくに過ぎていました。このような事態は家のスキャナで経験がある私にとっては予測できたことです。しかし、間に合わせられるかどうかの崖っぷちで作業していた私はそれを完全に見落としていました。本当のところは前日の時点でもう間に合っていなかったのです。それにも拘わらず本を出すとtwitterで告知したことについては、お詫びするしかありません。

前にも書きましたが、あんハピ♪の二次創作を見かけることは現在の日本において極めて稀であると言えます。だからこそ私が描くしかないと思いました。別に私の作品を見てほしいという気持ちはありませんでした。ただ、あんハピ♪が好きな人がもし来てくれたら、あるいは少しでも知ってもらえたらというつもりで、私はあんハピ♪本を作ることを決めました。とはいえ日常系の空気感を出すためにキャラの表情や背景の表現にはこだわるつもりではいました。しかし、時間が限られた中で描いたそれは、私の未熟さを見せつけるものでした。私が入れ込んだ作品について思い入れを詰め込んだ結果、私にとって納得しがたいものができてしまったのです。それは私の目的に沿うものであったか、今となってはもう言うべきこともありません。しかし、描いた以上は印刷をして本に仕上げなければ、自分で出すと言ったことに反すると思い、印刷所へ向かい、そして撃沈しました。

もっとも、中途半端なものが出なかったことに対する安堵があるのも実際です。帰宅演習は未完成版でも出しましたが、今回は状況が違っていたことを考慮する必要があります。帰宅部本についてはそれを求めている人々がある程度想定でき、かつ一部は私にとって縁のある人たちでした。しかし、あんハピ♪本を求めている人について、私は全く想像がつかず、サンクリのような中規模の即売会に来るのかどうかも見込めませんでした。実際のところは表紙のペーパー(+落書き)を受け取ったのが3人という具合で、仮に本を出したとしても1冊も売なかったことは容易に推測できます。だからこそ形にならなかったことは必ずしもマイナスではなかったとも思います。

サークルスペースに座っていて、目の前をただ通り過ぎる人々や、売れ行き好調な隣のスペースを見て思ったことは、帰宅部およびあんハピ♪という作品が興味を持たれていないという現実でした。私にもっと余裕があれば、人の目を引くために目立つ看板(あの人)を設置すべきだったかもしれません。どんなに興味がなくとも目立つものがあれば人を寄せ付けられる可能性はあります。しかし私が持っていったのはC90のときと違う種類のあざらしでした。仕方ないのでその場で適当な文句や絵を描いた紙を置きましたが、特に効果を上げることはなく、人はこちらを一瞥することさえなく通り過ぎていきました。一方で隣のスペースには多く人が集まって何やら話したりしていましたが、それについては私として思うことがあったので後述します。

あんハピ♪本に関して私は痛い思いをして終わりました。これもまた今後本として出す予定はありません。しかし、私が描いた帰宅部以外で思い入れのある作品には違いないので、描き直すでも何でもしてウェブに上げることを考えています。

同人誌の価値

当分の間、創作活動をインターネット上のみで行うことを決めたとして、同人誌の価値とは何かという疑問が残りました。私にとって同人活動は一種の社会実験でした。しかし、本に値段をつけて売る以上、買う人が一体何にそれだけの対価を払っているのか、適切な値段設定とは何かというのは常に悩むところでした。

例えば、帰宅演習の当初想定していた売値は300円でした。これは、過去の即売会で見た最低レベルの値段に合わせたものですが、20ページに3話ということでまぁ300円くらいがちょうどいいだろうと思ってつけた値段です。元より利益は考えていなかったのでコピー本としては200円(印刷費と同程度)でも良かったと思います。結局未完成版を出すことになり、200円に下げましたが、本当ならタダで配ってもよかった、あるいは未完成なら出すべきですらなかったと思います。しかし、それでは帰宅部活動記録の価値を下げる格好となって申し訳が立たないので、敢えて200円を取らせていただきました。

そもそも何百部何千部売るのでなければ利益など出るわけないので、値段は好きにつければいいのです。実質0円のものを作品に対するリスペクトから200円にしても構わないはずです。とはいえ、未完成版を買っていただいた方々は帰宅第一から縁がある人と、帰宅部本を集めている人でおそらく全員だったと思います。なので、完成版は全員に受け取っていただきたかったのですが、まぁそれは仕方ないでしょう。

同人誌を値段を見て買うのは少なくとも500円を超えるところからでしょうから、同人誌に払う対価というのは、それを所有することに対するもの、あるいは作者にビールをおごるようなものだと思います。同人誌は明らかに本としては割高であり、中身はそれこそ即売会なら全部見ることも可能です。それにお金を払うということは、所有することに価値を見出しているか、あるいは作者に対する敬意や応援か、そのいずれかなのだと私は思います。

同人とは

大きな標題を掲げましたが、別に同人の定義などをとやかく言うつもりはありません。しかし、同人誌を頒布するという活動について、自分がその立場になっていろいろ思ったことがあるので、ここに書かせていただきます。

同人、それは同じ人と書きます。志を同じくする人が互いに考えを交換する、いわば交換日記のようなものが同人誌の本来のあり方だったと思います。創作物の交換という形式で互いに競い高め合い、時に見解が衝突することもあったことでしょう。しかし時代は変わり、同人のあり方が多様化した今では、同人という言葉の意味も誰かが包括的に定義できるようなものではないのが実情です。少なくとも私はそう思っていました。

しかし、自分が同人活動に加わってみて感じたことは、同人というのは案外狭い世界で狭い人間関係の中で行われている実は閉鎖的な文化なのではないか、ということでした。前述の通り私のスペースは石ころ帽子を被ったが如き有様でしたが、隣のスペースは比較的盛況で多くの人が集まっていました。しかし、会話に耳を傾けてみると、隣に来ているのは作者の知り合いばかりで、前にいつ会ったとか何時間寝たとか新刊出すのかといった、内容にはほとんど関係ない世間話ばかりで、私には馴れ合い集団に感じられました。何しろ私はヒトとの馴れ合いが嫌いなあざらしなので、正直アホくさと思って聞き流していました。

実のところは、過去に結構売れているサークルや同人イベントに参加する人々を見てきた中で、彼らが見ているのは作品というよりも人なのではないかという思いはありました。いや、最初は誰もが無名なので作品で評価されたのでしょう。しかし、その後は人としての力、あるいはカリスマ性のようなものが左右する世界に入っていくのではないか、それが同人として生きていくということなのではないかという思いが強くなりました。それはかつて私が学会で経験してきたことと大差ないことでした。インドの古いことわざにあるように、人を憎んで罪を憎まずというのが人間界のあらゆる集団で共通する規則であり、あるいはヒトという動物の遺伝子に刻まれた構成情報なのではないかと、あざらしは考えました。

先にも言ったとおり、私は馴れ合いを嫌います。生まれたときからそうして生きてきました。同人活動において興味があったのは、この作品には他にどんな表現の可能性があるのだろう?マイナーと言える作品に対して興味を持つヒトがどれだけいるのだろう?ということでした。いわば一つの実験として私は同人活動を始めました。同人イベントに一般で入るときは、おそらくその場で1、2サークルしか出していないであろう作品の二次創作や、当然ながら唯一のオリジナル作品を集中して買いました。そのときに作者と多少話をすることもありましたが、それは例えば何部刷ってこの値段なのか、これはまた珍しい出品ですね、好きな作品だけどなかなか出ないので見つられけて良かった、などの少数の言葉です。しかし、売れているところを見ると結構よく話し込んでいるのを見かけました。それは少数の例というには有意に多かったという印象です。なるほど、彼らはそもそもpixivやtwitterなどでちゃんとコミュニケーションを取っている。私のように「あざらし」など独り言をずっと言っているのではない。そして現実でも普通に話を弾ませることができる。そうやって人との関わりをもって同人として活動をしているのだと思いました。私とは何もかも違いました。

もう一つ感じたのは、私が興味を持つようなジャンルとメジャージャンルとの間に天と地ほどの差があることでした。別にサブカルクソあざらしを気取りたいわけではありませんが、流行に乗りたいという考えは私には欠片ほどもありません。しかし、売れるものは売れる、売れないものは売れない、The rich get richer and the poor きっと perish. 私はかつて本を売るバイトをしていたので、そのことは当たり前に経験していました。しかし、自由な表現の場だからこそ残念に思うところもありました。同人は例外どころかジャンルの偏りが強く現れる場でした。多くの作家は売上を自分のスコアとして見ていると思われることを考えると、メジャージャンルとその他で極端な分布が生まれるというのは数理生態学の領分です。おそらくヒトをスコアの確率変数として見れば数学的に納得できることなのでしょう。

まぁいろいろ思うところはありましたが、私とてtwitterのつながりから同人に足を踏み入れたのであり、同人が人のつながりと集団的性質によって成り立っていることを否定できる立場にはありません。私が同人から一時でも身を引こうと思ったのは、もっと現実的な問題によるところが大きいと思います。というわけでこの話は終わり。

最後に

私は前回同人活動をやっていくと言ったそばから同人活動を当分の間休業すると考えをあっさり翻しました。それには様々な要因がありますが、現状が宜しくない状態であることは最初に言ったとおりです。もし来年のよんこま小町であざらしを見かけたら、こいつまだ生きていたのかと思ってください。

文化の日だから文化的なことを書こう

といっても大したことを思いつかないので、新しく作ったサイトからネタを引っ張ってきます。おっと、もう gillirb です。いい加減寝ないと、という冗談はさておき、brillig は午後4時を指します、というのもまぁ本当か嘘かは分からない、「鏡の国のアリス(Through the Looking-Glass)」において、ハンプティ・ダンプティが勝手につけた意味です。今は午前4時なので逆にして gillirb というのはいかがでしょうか、という話でした。睡眠薬を飲んでいるので眠いと思いきや意外とそうでもない。

じゃあもう一つ、ハンプティ・ダンプティが言ったことから「かばん語(portmanteau word あるいは単に portmanteau)」という言葉があります。これは二つあるいはそれ以上の言葉を一つの言葉に収めたもので、一種の合成語です。ネーミングで使われることがよくあります。例えば同じくジャバウォックの詩から、slithy という言葉を一つ。これは slimy(ねばねばしている)と lithe(柔軟な、滑らかな)を合わせた言葉と説明されています。もちろん本当かどうか分かりませんが、粘弾性やレオロジーといった物理学と結びつきそうな言葉です。

筆者はこのような単語の合成や韻を踏んだ並びが好きなので結構ネーミングに取り入れたりするのですが、誰も意味が分からず無反応に終わるのが大体の落ちです。まぁ一種のあざらしギャグだと思って華麗にスルーしてください。

と、ここまでは単なる前フリで、今回もおよそ文化に貢献しないであろうことを書きます。

帰宅演習完成

9月頭には出す予定だった帰宅演習が、2ヶ月近く遅れてようやく完成しました。といったものの、印刷後に重大なミスが発覚し、最後まで失敗続きだったことは、同人活動最初にして大きな挫折でした。言い訳をすると、当時は仕事から帰っても何かするより先に眠気が先に来てしまい、翌朝シャワーを浴びて出勤するということの繰り返しで、あまり漫画の方に力をかけられなかったということがあります。

しかし本当に大きかったのは、漫画の仕上げ作業のあまりの手間の多さでした。まずはペン入れしたものを Inkscape に取り込み、枠線とフキダシを作成、台詞を埋め込みました。Inkscape では縦書きができないので、LibreOffice Writer で文を作ってフキダシ画像として保存し画像の二値化から始まり、ノイズの除去、はみ出した部分の消去、汚い線のクリンナップ、線が切れていたりするところの補修、場合によっては描き直しに近いところもあり、そこまでやってさらにトーン貼り、背景の効果、写真の埋め込みなどやることがあまりにも多くありました。これらのほぼすべてをノートパソコンのタッチパッドでやったのですから、ペンタブを使うよりずっと多くの手間というか手への負荷と時間がかかったことでしょう。トーンについても GIMP にはもちろんついてなどいませんので、前回書いたように塗りつぶしパターンとしてインターネットで拾ったものから作りました。まぁ Linux で作業するだけでも普通じゃないので余計に手間がかかったのは仕方がないでしょう。ちなみに筆者は Micr○s○ft と Ad○be が燃やしたいほど嫌いです。

結局これらの作業を終えるのにC90から3ヶ月を要しました。正直それでも帰宅演習のクオリティは私にとって良いといえるものではなかったのが残念です。なるほど、漫画を適当に描くだけならともかく、仕上げて本にして出すということはこんなにも大変なことなのかと思い知りました。この感覚は論文を出版するために校正作業をしていた頃に覚えたものと似ています。また専門書の校正のバイトをしたこともありますが、他人の作ったものに×をつけるのと自分の作ったものを直すので決定的に違うのは、自分のものはつい解ってる気がしてミスに盲目になってしまうということです。完成版を一通り眺めて、「あぁ、やってしまった」と思う部分は多々ありました。最も重大なミスは印刷所で最後の修正をしたときにやらかしてしまったものでしたが。

まぁそんなことはありつつも、帰宅演習は完成しました。未完成版購入者様には無料あるいは代金を補償して実質無料でお渡しするつもりでしたが、今までに捌けたのは10名中4名です。あと1人は判っているのですが、他にもいらっしゃれば twitter の専用アカウントにダイレクトメッセージを投げてください。東京近郊にお住いならば都合のいい場所にお渡しに参ることができます。遠方にお住いの場合も匿名で配送できるサービスを利用しますが、そのためにはスマートフォンが必要です。勝手ながら締め切りは日本時間11月13日0:00までとさせていただきます。なお、12月頃には解像度を落としてですが未完成版と完成版を GitHub 上で比較可能な形で公開する予定です。

帰宅演習を一応完成させたことによって、やっと私は同人活動を始めるところまで来ることができたと考えています。

同人活動について

同人活動はお金をドブに捨てるようなものです。参加費や遠方であれば遠征費を払ってまで利益を出すとしたら、最低でも千冊完売させる程度の力は必要になるでしょう。それだけ打っても利益ははした金でしかなく、一発当てるには万のオーダーで売らないと無理です。もちろん委託やインターネット通販などで全国に向けて売ることはできますが、万という数字はプロの作家が一般的な出版社から出す場合ですら、当たり前に達成できるというものではありません。しかし、プロは原稿料をもらっていますし、出版に際しては印刷した分に対する印税が入ってきます。一方で同人作家は何から何まで自分持ちです。売れなければ赤字と在庫が自分に降り掛かってきます。ご存知かと思いますが、プロの作家で同人活動を並行してやってらっしゃる方々は少なくありません。そこが同人の面白いところで、同人作家として同じ場に立つ以上、素人とプロは本質的に平等です。もちろんスペースの違いなどはありますが、それは実績や話題性などを考慮して決められるので、プロだからといって特別に優遇されるというわけでもありません。少なくとも同人はある人々にとって利益を無視して自らを捧げるに値するものであることは確かです。

私は「お鰭持ち表明」に書いたように手痛い失敗をしました。普通ならそこで自分には無理だと思ってやめるところだと思います。しかしなぜか私は同人活動を続けるつもりでいます。自分でもどうしてそうなったのかは分かりません。あるいは帰宅演習に対する心残りがあったのかもしれません。しかし、それは一応の完成という形で終わらせたつもりです。

それでもなお、何かしら引っかかるものがあり、私はそれが何かを確かめたいのかもしれません。もちろん、就職してお金を得て余裕ができたからというのもあるでしょうが、一方で時間的な余裕は少なくなりました。それでも私には何かをしたいという気持ちが頭の片隅に掻いても取れない痒みのように残り続けています。それが私が同人活動を続ける、というよりこれから始めようと思った理由です。

同人活動の楽しみについては、その筋の先輩である難波廃材氏がブログに書いてくださっています。

C90 お礼と感想 | 廃材置キ場

先の10月30日、私は「よんこま文化祭」という4コマ漫画オンリーイベントに一般参加者として行きました。近頃はアニメ化される作品も多くなったとはいえ、4コマ(ときららフォワードの「がっこうぐらし!」「あんハピ♪」)だけを集めて人が集まるのかという程度には、4コマ漫画というジャンルが比較的にマイナーであることは否めません。そこに集まる人々ですから、やはり4コマが好きだから来ているのだろうという期待はありました。で、行ってみた印象としては、やはりアニメ化強し、ひだまり、ごちうさきんモザ強しでした。とはいえ4コマ漫画のレビューやオリジナル4コマ漫画を出品してる方々もちらほらいました。人数比としてはサークルと一般にそれほど大きな違いがなく、アフターイベントなどもあってか一般でも最後まで残っている人が多かったです。最後はもう誰がサークルなのか一般なのか分からなくなっていましたね。私も時間が余ったのでプレゼント用の色紙を1枚描かせていただきました。まぁもらっても誰やこいつという感じでしょうね。椿ちゃんの色紙は欲しかったのですが、私の前にいた人が手に入れていきました。ちなみに私がゲットしたのは Rodanthe* のアルバムと既に持っている漫画2冊でした。Rodanthe* はBDもついていたのですが、値段に差があるので別にされ私の手には来ませんでした。「日本シリーズ北海道遠征三戦全敗カープファン」様、忘れることはないでしょう。

世の中にはいろいろな同人イベントがあるということを知ったのはいい経験でした。4コマ漫画は好きで遠征してみたいという気持ちもあり、3月に開催される「よんこま小町」にサークル参加を申し込もうと考えています。というのは随分と先の話。

今度の11月13日(日)に池袋で開催されるサンシャインクリエイション SC2016 Autumn にあざペン(サークル:haucl4)参加します。twitterで申し込んだことは言ったものの、発表が直前となってしまって申し訳ありません。

一つは以前少し名前を出した「帰宅演習 Appendix」で、「帰宅演習・補遺」と改題して鉛筆画と文の絵本的なものとして出す運びとなりました。元々は帰宅演習本編に入れる漫画の予定だったのですが、諸事情(これまでの経緯から明らかでしょう)によりこのように変わりました。元々アナログあざらしなので、鉛筆だけで仕上げるというのは自分に合っていると思います。絵もそうですが本も手作りやってみたいと考えており、体裁としては特殊紙を表紙に用いた同人小説に近いものにするつもりです。

もう一つは「あんハピ♪」の二次創作漫画「Partageons l'Oiseau Bleu」で、こちらは逆にフルカラーになります。嘘だろおい!締め切りは7日、死んでいます。よんこま文化祭ではそもそも4コマ漫画でないのにある意味で破格の待遇でしたが、C90の時点で判っていたこととはいえ、あんハピ♪の二次創作は帰宅部と同程度には希少と言わざるを得ません。いわゆるワンドロも参加者は少ないです。原作、アニメとも愛している作品として、悲しいというよりは探しものが見つからずもどかしいという気持ちです。なら私が描けばいいじゃないか、ということで勢いで申し込みましたが、仕事も含めなかなか厳しいのが現状です。ギリギリがんばれHAPPINESS!

あとどうせ余るので帰宅演習本編も持っていきます。

さらに、私はC91で頒布予定(といっても落選したので委託先探し中)の NEW GAME! 合同誌に4Pの4コマ漫画「はじめてのOpenGL」を寄稿させていただく予定です。これさえ読めば3Dグラフィックスの基礎が分かる、ということは多分ありません。少しは触れますが。

とまあこんな感じでしばらくは同人活動をやっていきたいと思います。

サンクリの詳細を以下に書いておきます。

開催日: 2016年11月13日(日)
場所: 池袋サンシャインシティ
配置: Bホール カ17b
頒布予定物:

  • 帰宅演習・補遺: 帰宅部活動記録二次創作本。クレア先輩が花梨の家にお泊り。
    本編モノクロ12p 200円
  • Partageons l'Oiseau Bleu: あんハピ♪二次創作本。幸せって分けられるもの?
    本編カラー12p 300円
  • 帰宅演習: 帰宅部活動記録二次創作本。
    本編モノクロ20p 単体300円、補遺とセットで400円

プログラムを組むこと

敢えて「プログラミング」という言葉を使うことを避けました。私の現在の職業は、一応「プログラマ」ということになっています。一応というのは、自分の仕事として「数理エンジニア」という別の面もあることから、世の中で言われているところでは「プログラマ」が一般的という程度の意味です。私の仕事を大雑把に言えば、アルゴリズムを作って実装することです。無論、私が作る以上は業界最速最良を目指してはいます。仕事の内容についてはここでは言えないのですが、基本的には3Dエンジンを作っています。エンジニアだからエンジンを作っているのは当たり前のことです。

「プログラムを組む」と言ったのは、プログラミングという言葉がコーディングと混同されていると感じるところがあるからです。「プログラム」するというのは、コンピュータに限らず一般的な行為だと私は考えています。それは、物事を上手く動かす仕組みを作ることです。その仕組みを実現することを「組む」と言うことにして、我々は「プログラムを組む」のです。故に理屈をブラックボックスにしてコードを書くことはプログラムを組むことには当たらないと私は考えます。プログラムを組むスキルというのは、言語やツールを多く知っているよりももっと基本的で重要だと思うのです。最近流行りのプログラミングという言葉からはそれが感じられないので、敢えてこのように言わせてもらいました。

私は元々大学では計算複雑性理論と行列解析と統計物理の間の怪しい領域をやっていたのですが、今の仕事では様々なアルゴリズムやデータ構造と行列計算や数値解法を使うので、ある意味天職に当たったと思います。また、3Dを画面に映すために先の OpenGL を使うので、ちょうどいいネタがあったのはラッキーでもありました。もっとも私もまだまだ勉強中ですが。また形状処理の計算は基本的に重いので、高速化のためにデータの疎性を生かしたり、メモリ効率やキャッシュヒット率を高める工夫をしたり、命令のレイテンシやスループットを意識したり、アセンブラのような低レベルのプログラムをやっていると、自分がパソコンではなく機械を動かしているという気分になれるのも楽しいです。それはかつて、DOSで非常に限られたリソースしか使えない状況でプログラムを組んだり、PLA上にプロセッサを実装して簡単な電卓を作ったりしたときを思い出します。

私は高校までは所謂プログラミングをしてきたのですが、大学では授業以外でほとんど触れていなかったので、自分にそれができるのか不安だった部分もあります。そもそも大学や学会には私よりずっと、あらゆる意味でプログラムができる人がいたので、私ごときがプログラムできるなどと言っていいのかというところもありました。しかし実際やってみると、案外自分も捨てたものじゃないなと思うことができました。結局のところ私は大学で「プログラムを組む」ことを学問研究を通して知らず知らずに学んでいたのです。私は世の中の役に立つことが嫌いですが、まぁこれはこれでいいんじゃないかと思いました。

私は同人作家としてやっていきたいと言いましたが、プログラマの端くれとしてもやっていきたいのも確かです。後に触れるサイトに載っていますが、次のようなプロジェクトを来年あたりに始めることを考えています。

  • MeSugar : 解析用2D/3Dメッシュ作成ツール。ソルバーから情報を取って適切なメッシュの動的生成も作りたい。
  • BLAS4me : 自分用BLAS実装。数万次元程度の密行列と数十億成分程度の疎行列に対応したい。
  • OpenSEAL : スケーラビリティの高い線型計算ライブラリ。直接法から反復法、例えば、PCG、 Bi-CG系、GMRES、IDR、Arnoldi / Lanczos 法、LOBPCG やそれらの組み合わせなど。
  • Copepoda : Linux でも動く漫画作成ソフトがあるといいなあ。名前はカイアシ類と Cope + Ad○be から。燃やそう君のPSD
  • Akabane : 帰宅ゲーム。なぜ赤羽かはお察しください。
  • Goggle Aqua : Web水族館。モデリングが大変なのでまずは動画からの機械的構造推定ツールを作ろう。

新しいウェブサイト

というわけで新しいサイトを github.io に作りました。今の所はジョークサイトですが、主として上記活動の記録を書き残すことを目的としています。一方でこちらのブログは今まで通り数学、計算機科学などの解説記事や漫画の告知などを書く、というふうに使い分けていく予定です。

azapen6 (in Engrish)
あざペン非公式サイト

以上、文化的なことを書きました。

お鰭持ち表明

金曜にお会いした方もそうでない方もこんにちは。あざペンです。

前回の更新以後、何の告知もせずに頒布翌日まで来てしまってすみません。もっとも、筆者の怠惰によりこのブログは半年更新しないこともあるので珍しいことではありませんが。

コミックマーケットでの初のサークル参加から翌日になって整理がついてきたので、今の気持ちを書くことにします。当日私が思ったことについては私の twitter アカウントを参照してください。(今回は筆者としての言論ではなく個鰭としての私情を書くので一人称は「私」を使うことにします。)

鰭本的人権の無保証(@azapen6)/2016年08月12日 - Twilog

C90当選から未完成に至るまで

時間への敗北

まずは土下座させてください。本当なら harakiri したいくらいです。私の処女作である「帰宅演習」は未完成のままサークルスペースに並ぶことになりました。しかも印刷が当日になり、サークル受付に遅刻して一般入場する始末。最終的にスペースで頒布開始できたのは13時以降になってしまいました。

印刷はキンコーズ横浜西口店様にて行いましたが、ここは24時間営業なので本当はサークル受付に間に合うこともできたはずです。それを見越して私は近くの漫画喫茶に入って徹夜で作業していました。元々コピー本にすることは印刷部数と費用の関係から決定していたのですが、ここまで直前になるとは考えていませんでした。

しかし、結局間に合わず、最終的にすべての台詞を埋め込んだ段階で諦めて印刷することにしたのが8:30、サークル参加受付の締め切り時刻でした。当然この後形式変換から印刷まで残っていましたので、どこでもドアがあっても間に合わないという状況でした。

この時間までになったのは、台詞を埋め込まないとそもそも話が読めないので、ここで切り上げたのは最悪中の最良の選択だったと考えます。そのため、最後の方は吹き出しの作成も間に合わず、写真の埋め込みも酷い有様でした。絵に関して言えば塗り絵と考えて差し支えない状況で出すことに。次の画像は本体中のネタですが、それにすら到達できなかったのは痛恨の極みです。

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間に合わなかった理由を一言で言ってしまえば、私の漫画の制作に対する見通しが甘かったことです。そのためにスケジュール管理をろくにせず、結果として時間が足りなくなるという状況に陥りました。

元々私はスケジュール管理が極めて苦手であり、学生時代も遅刻やレポート提出遅れはいつものこと、論文や学会発表でもやらかして謝罪に行ったこともありました。もちろん怒られてはいたのですが、結局治らずそのうち諦められるということが昔から続いていました。私の対義語が punctual であると言ってもいいほど物心つく頃から遅刻癖があり、大人になっても治らないのは AD/HD を疑うべきかもしれません。

まず、私は漫画を描くことに関してはほとんど完全に素人です。時間がかかって当然なのです。漫画を描くこと以外にも事務手続きでやらなければならないことは多く、それも初めてなので時間がかかりました。私はC89で帰宅部合同誌「帰宅第一」に「OTCの謎」という6ページの漫画を寄稿しましたが、そのときは主宰の難波廃材氏(@yakime4)、DTP担当のyuwinet氏(@yuwinet)にほとんどの作業をやって頂いたので、私のすることは漫画を描くことだけでした。それも遅れて土下座案件だったのですが。今回はそれらも全部自分でやらなければならず、スタート地点が他の参加者よりも相当後ろでした。それを考慮して早めに動くことを怠ったのが今回の結果の一因ではあるでしょう。

結局は自分が漫画を舐めていたということに尽きます。何が創作の尊厳に背けなかっただ。私にそんなことを言う資格はなかった。

サークル参加に至るまで

そもそもコミケ参加2回目にしてサークル参加というのは随分飛躍したと思います。(コミケの次回申し込みは開催期間前後の短い間です。)それに至った原動力としてはは、1回目を見て創作という行為に人々を駆り立てる力を肌で感じたことが大きいです。プロと素人が同じ場に並んで自分が作ったものを発表するというのは、少なくともそれまでの経験にはありませんでした。学会ではプロの研究者と学生が同じ場で発表しますが、学生は決して素人ではなく、自分の領域では参加者の誰よりも知っていなければなりませんでした。しかし、コミケという場では発表したいものさえあれば誰でも発表できる権利があります。別に下手でも構わないのです。売れなかったとしても責任は自分だけにあります。その責任を負う覚悟のある者に対してコミケは自由を与えます。そんな場を眼の前にして、私もこの中に入ってみたいと思いました。先に名前を上げた難波廃材氏、yuwinet 氏。帰宅部の創作を続けておられるメロン泥棒氏(@melondorobou)の存在も大きかったです。

コミケへの参加については、前回のC89が最初でした。私は大学入学当時からパニック障害という神経性の持病があり、コミケのような人が高密度で集合する場所に行くことは一生不可能だと考えていました。しかし、今は薬で症状が抑えられているため、2年前からイベントに参加する機会が増えていき、ついにC89で念願のコミケ参戦を果たすことができました。とはいえコミケの時期は田舎に帰ることが普通だったので、「帰宅第一」への寄稿がなければ今回も含めて参戦していなかったかもしれません。

私は「帰宅第一」で「OTCの謎」を寄稿しましたが、これは凄まじい変化球だったと思います。それを書こうと思ったのは、私が昨年、北海道紋別市の「オホーツクとっかりセンター」(以下OTCと略す)を訪れたこともありますが、他の参加者が正攻法で行くことを期待して、ちゃんとした漫画を描いたことがない私がそれに埋もれないように絶対に被らないネタで行こうと思ったことがあります。当初は割と普通のギャグや日常ネタを考えていました。まぁ私にはセンスがなかったのでやめたというのもありますが。ともかく「OTCの謎」は世に出ました。しかし、それは私に心残りも残しました。私は素人なりに頑張りはしたものの、演出意図がはっきりしない部分が多くあり、また仕上げ作業が間に合わなかった(今回も)ために、かなり雑な仕上がりになってしまったことです。また、正攻法でいかなかったのは合同誌だからこそできたこととはいえ、勝負を避けたとも言え、あるいは帰宅部を描いたとも言えないのではないかという思いはありました。

だからこそ、ちゃんと私の帰宅部を描きたいという思いはありました。

仕事との両立

閑話休題。スケジュールがここまでキツキツになってしまった原因には、コミケに申し込んだ後に私にとって重大な出来事が立て続けに起こったことがあります。あまり楽しい話ではないので伏せますが、最終的に私は就職しました。そのため、自由な時間が取れなくなりました。毎日仕事をするということ自体私にとって初めてのことで、しかもその分野の素人でありながら専門技術者として働くことになったので、勉強すべきことも多く、漫画を描いている余裕はありませんでした。というよりは自分がコミケに申し込んだこと自体忘れかけていました。

現在、私は3次元コンピュータグラッフィックスおよび数値構造解析の分野でアルゴリズムの開発・実装を行っています。基本的には既存のソフトウェアや論文を調査してよい方法を考え実装するという、まぁ学生とやってることに大差はないです。しかし、学生時代の私は周り半分が競技プログラマという状況にいながら、実装をやらずに数学的な理論だけをやっていました。私は5歳頃にプログラミングに初めて触れ、その後は MS-DOSWindows*1 でお遊びのプログラミングをしたりしていましたが、そのうち関心が薄れ、今の職場に入るまでに相当なブランクがあるという状況でした。また、世の中の IT 事情にも疎く、他の会社からは相手にされない中で今の会社に拾われました。その理由は数学に強いということで、ほとんど学歴で採用されたようなものです。

私は中途採用扱いで入社したので最初から結果を求められ、実装もできるものとして扱われました。それは自分にとっては良かったのだと思います。私が作るからには世界で一番の性能を持つものを作らなければならないというのもあり、現在作っているものでは有名なソフトに圧勝できる程度のものは作っています。もちろん、仕事で作ったものを勝手に公開することはできません(私の首が飛びます)が、その中で使っているパブリックな技術についてはこのブログで説明することも考えています。

そんな状況で飛び込んできたのが、コミックマーケット90への当選でした。正直、無理じゃね、と思いました。決まってから辞退するという選択肢は事実上なく、やるとすれば欠席を申し出るしかありませんでした。しかし、私が当選したことで世に出られなくなった創作物がある可能性を考えれば、ここで引くのは創作という行為に対する背徳であると思いました。そして私はC90への参加を決めました。

世の中には仕事をしながら同人活動をしている方々が多くいるので、私にだってやってやれないことはないと最初は思っていました。しかし、現実はそう上手くいきませんでした。まず、私は新人であり、それこそ形状処理に関しては素人なので、いろいろ学ぶべきことが多く、仕事が終わったからといって遊び呆けていられるわけではありませんでした。職場は時間の自由がかなりあって早く帰っても小言を言われるということもなく良い環境です。しかし、その後近場で座っていろいろ考えたりしていると、帰っても食事をしてアニメを観て寝るだけ、翌朝シャワーを浴びて出社という日々が続いて漫画の筆はなかなか進みませんでした。

4月期が始まる前はきらら最長連載の「三者三葉」や原作を継続して買っていた「くまみこ」に期待していましたが、始まってみれば私は「あんハピ♪」にドハマりしていました。原作は現役フォワード連載の中では数少ない知っている作品であり、漫画の方は少々ご無沙汰になっていましたが、アニメには多少なりとも期待はしていました。大沼心監督のシルバーリンクの作品で、主演が花守ゆみりさんであることも視聴を決めたきっかけのではありました。大沼氏は良くも悪くも作品を自分の色に染めるのですが、きらら系タイプの監督をするのは初めてであり、どういうアニメになるのかに興味がありました。過去にシャフトで仕事をしていたことから「ひだまりスケッチ」に近い演出をする可能性が濃いかと思っていました。実際、ひだまりの監督も務めた石倉賢一氏が監督したきらら系アニメ「桜Trick*2では、ひだまりと見紛う画面が随所にありました。しかし、蓋を開けてみれば、あんハピ♪アニメは大沼監督らしさは所々にありながらも、萌えのポイントを押さえた上で日常系アニメにはないタイプのエンターテインメント作品になっていました。最も大沼氏らしさが感じられたのはOPの「PUNCH☆MIND☆HAPPINESS」の映像でしょう。声優陣の演技も素晴らしく、声優としての演技というよりもキャラクターが実際に喋っているように感じられました。誤解されやすい言い方をすると、声優が消えていると感じました。もちろん最高の賞賛のつもりです。一挙放送があるのは嬉しい限りです。今年は18きっぷ旅は諦めていましたが、それまでに米坂線の萩生駅に降りたいという欲求が強まり、結局行くことを決めました。ちなみに私ははなこ推しです。

とまた話がずれてしまいました。つまり言い訳をすると私には漫画に使える時間が限られており、それもアニメ視聴で潰してしまいました。この前の「聖剣使いの禁呪詠唱」も結局全部観てしまいましたね。

時間との勝負、そして敗北

その結果として、ペン入れが上がるのがなんと前日になってしまいました。会社からは前2日休みをもらって完成させるつもりで、半分はできていたのですが、後半は駆け足になってしまいました。それこそ1ページの作画が1時間とかいうレベルです。ネームの段階で作画が厳しいところはほとんど描いていたのですが、顔はほとんどその場で何も見ずに描きました。今回で得たことがあるとすれば、帰宅部メンバーを何も見ずに描けるようになったことくらいでしょうか。

それから仕上げ工程、つまりは枠線、フキダシを入れ、台詞を写植し、トーンを張るというところになって、私は家を出ました。24時間営業のキンコーズ横浜西口店の近くの漫画喫茶に入ったのが0時頃、背景は諦め台詞の写植までをとにかくやることにしました。いくらなんでも話が最後まで読めないのは漫画としてあり得ないからです。結果としては、次のような塗り絵になってしまいました。フキダシ入れも間に合わず、二値化のしきい値調整からのゴミの除去もろくにできず、酷い出来になりました。作業環境を後に示しますが、個々の作業は単純作業であり、私の手際は後々になると十分速かったと思います。それでも、1つの作業が数秒〜1分で終わるとしても、1ページあたりでは30分はかかり、たった20ページの漫画でさえ6時間では捌ききれませんでした。それに背景を入れたりトーンを貼ったりすると、丸一日はかかる作業だったというわけです。私は後述の通り GIMP 用のトーンブラシも作ったので、それにも多くの時間を消費しました。

これまで漫画を本にしたことのない私には、一つの漫画を仕上げるのにここまで時間がかかることを想定できませんでした。どんなに作業スピードを上げても物理的に間に合わないことを理解するのが遅すぎました。その結果として、優先度の低い要素を捨てざるを得ませんでした。

一言で言えば、私は有界な時間に敗北しました。今回の件で、私は漫画を最後まで仕上げるということがいかに大変なことであるかを思い知りました。それは落書きとは全く違う次元の話でした。今回のことで私は非常に懲りています。今後は仕事の関係もあって漫画を描くこと自体ないかもしれません。しかし、もしまた漫画を描くことがあるとすれば、「時間は有界であり、作業は膨大であり、一つの作業には一定以上の時間がかかる」ということを肝に命じます。

駅メモについて

今回、駅メモ本を作成する予定でしたが、結局出さないことになりました。もちろん時間的な問題が大きかったのですが、今年になって公式サイドが活発な動きを見せているので、自分が何かをする必要性を感じなくなったこともあります。前はお世辞にも良いとは言えなかったアプリの操作性が改善され、表示されていた広告も表示されなくなり、それなりに儲かっているのではないかと推測します。私は京都の「地下鉄に乗るっ」を応援していますが、その企業スポンサーにも「駅メモ!」が名を連ねていました。シナリオもまだ空きはあるとはいえ更新され、今は見守る段階になっていると思います。最近登場したさいかわでんこの「さいか」と「ハル」の絡みとか興味あるのですが、公開する場にしても pixiv が妥当でしょう。

ちなみに、出す予定だった本のタイトルは「平原駅駅ノート」でしたが、平原駅は長野県小諸市にあるしなの鉄道の駅です。本州には珍しい有蓋貨車を改造した駅舎と、やたら古い感じの駅名の立て看板が特徴で、なんといっても谷底の周りに家もないような場所にある一体誰が利用しているのか分からないような駅です。小海線の三岡駅からは徒歩で20分程度で、直線距離は近いものの直線では行けず、通過する電車が多いので、乗換駅としては機能しません。こんな駅でありながら、少なくとも2年前の時点では駅ノートがなかったのです。人が住んでいる場所にあって利用者がそれなりにいる三岡駅には駅ノートが置いてあったのに、です。そんな平原駅から名前を拝借しましたが、結局本は出ませんでした。代わりに写真を貼っておきます。

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私にとっての帰宅部

私が「帰宅部活動記録」に初めて触れたのは、原作1巻を本屋で見かけて買ったときでした。読んで最初に思ったのは、あざらしが可愛いことと、なんだかムズムズするということでした。そのムズムズは、小中学生の頃に漫画的な何かを描いていた者として、自分の過去を見せつけられているような感じでした。「くろは」漢字で書くと「黒羽」?あるいは「†黒羽†」か?これはヤバいと肌で感じました。1巻からメタネタのオンパレード、他の漫画だったら即ブッコフに売っぱらったところでしょうね。しかし、帰宅部のそのなんとも言えないムズムズ感は私に刺さり、継続となりました。正直、絵の下手さとギャグの切れ味では「みつどもえ」1巻に、絵の下手さとギャグの狂度では「クレムリン」1巻に遠く及ばないでしょう。しかし、帰宅部には完成された漫画にはない、帰宅部にしかできないことをやってくれる可能性を感じました。

そしてアニメ化が発表されました。正直、まさかと思いました。そして1話視聴。反応は案の定でしたね。予想外は声優でしたが、それもある意味予想の範囲内だったかもしれません。しかし、アニメ化不可能と言われたかもしれない原作を再現しつつキャラクターをしっかり描いた帰宅部アニメは、私にとってはこれぞ帰宅部のアニメだと思えるものでした。特にあざらしが可愛い。特にあざらしが可愛い。帰宅部アニメは日テレの不安定枠での放送となり、放送が何度か休止されましたが、あの枠でなければ、すなわち日テレでなければ制作はなかったでしょう。おそらくあの声優陣も帰宅部の制作には必要不可欠だったと推測します。結果として帰宅部アニメは我々の心に残るものとなりました。

そして帰宅部は終わりました。原作者のくろは先生も帰宅部は過去の作品だと明言されており、今更帰宅部で盛り上がることに対して否定的な態度を取っておられます。しかし、時々 twitter帰宅部キャラの絵を上げてくださることがあります。ツンデレなのかファンサービスなのか判断しかねるところです。私は「アザラシック・ワールド」が好きです。

帰宅部アニメから2年、2015年になって、twitter を見ていた私の前に一つの提案が流れてきました。それは難波廃材氏からで。帰宅部合同誌を出そうというものでした。折しも帰宅部声優が続々と事務所に所属し、やるとしたら今というタイミングだったと思います。私は漫画を完成させたことなどなかったため、一度はスルーしました。しかし、「今しかできないことがしたい」という帰宅部のキャッチコピーにつられてまんまと参加を決めました。

私にとっての帰宅部は、創作をしたくなるような何かを持っていました。それは最初に読んだときのムズムズ感と無縁ではないでしょう。難波廃材氏が卒業のためC90に帰宅部での参加はしないと仰ったことで、なら私が描くしかないということで1度目から間もなくして単独でのサークル参加を決断しました。

作業環境

漫画を描く環境としては少し珍しいと思うので、私の今回作業環境を書いておきます。

まず、私は基本的にアナログで作業しました。一応ペンタブは持ってはいるのですが、私がペンタブを用いてちゃんと絵が描けないことと、後述のPC環境の問題で、アナログでやっています。正直、PCでの作画は面倒なことが多くあって、それで絵をかく気になれないというのが大きいです。時代遅れかもしれません。ペンタブも結構高かったのですが、安らかに眠っています。

ラフは普通にシャーペンで描いています。どうせ後でペンを入れるので特に拘りはありません。ただ、消すときは練り消しを使っています。普通の消しゴムであまりゴシゴシやると紙が傷んで後から描きづらくなるので。

ペン入れには次の道具を使いました。コニカルビーカーは普通は滴定で使うものですが、ペン先や筆を洗うのに使いました。東急ハンズで売っています。重心が低くて倒れにくいのが机に置いて作業するのに便利です。ペン先はGペンしか持っていません。あと所々でミリペンを使いました。

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ペン入れの後はスキャンしてPCで仕上げ作業に入ります。私の作業環境は、

PC: ノートパソコン(マウスコンピュータ製)
OS: Arch Linux / Xfce4
ドロー: Inkscape
ペイント: GIMP
写植文字: LibreOffice Writer

です。漫画を描く環境としてはかなり変わっているのではないでしょうか。ノートパソコンを除けばすべてタダで手に入ります。正直に言えば私は皆が使っているような IllustratorPhotoshop を持っていませんし使えません。しかし、InkscapeGIMP も十分な機能を備えていると思います。何よりこちらに慣れているので今更変えてもまともに操作できるようになるまで時間を要します。なので仕事でどうしても必要という場合を除けばこちらを使います。

ただ、GIMP にはもちろんトーンなど入っていませんので、呉竹シオ様が作成された600dpiのトーンサンプルを元にトーンブラシを作成しました。これをもっと早くやっていればと思いますが後の祭りですね。

Arch Linux は単独で使う Linux ディストリビューションの中では Gentoo と並ぶミニマムな構成のOSで、初期状態ではほとんど何も入っていないため、必要な道具は全部自分で揃える必要があります。Gentoo との違いは、パッケージのインストール時にソースからビルドする必要がないことで、その分素早くインストールできます。初期状態ではデスクトップ環境が入ってないのはもちろんのこと、ブートローダーすら自分でインストールする必要があります。しかし、その分余計なものを入れずに自分の好みの環境を構築しやすいです。何より公式の Arch Wiki で日本語の説明が充実しているのが良い所です。他の Linux ディストリビューションを使う人も Arch Wiki を読むことで得られる情報は多いでしょう。Ubuntu などと違ってインストールにはそれなりのステップを要するのでとっつきづらいかもしれませんが、Linux の勉強になるので、むしろ Linux を本格的に使いたい初心者におすすめしたいOSです。かくいう私も初心者です。もちろん、手っ取り早くサーバーを建てるなどの用途には向いてません。ただ、ノートパソコンで使う分には Xfce4 環境は元々入っている Windows よりも動作が軽いのが良いです。そのため、メインではこちらを使っています。

強調しておきたいのは、今回私が「帰宅演習」を完成させられなかった原因は、作業環境のせいではないということです。

まとめと今後

とまあいろいろ書いてきましたが、「帰宅演習」が未完成に終わった原因は、私の漫画制作に対する見通しの甘さが原因であり、コミケ初サークル参加にして黒歴史を作ってしまいました。今回頒布用として吸った10部がちょうど完売したのは喜ばしいことではありますが、同時に未完成のものを売っていいのかという葛藤もありました。しかし、当日私のもとに来られた方々は、帰宅部本があるから手に入れたいという人がほとんどすべてだったので、改めて帰宅部活動記録は人々の中で生きていると感じることができました。

それと同時に同人活動の難しさも感じました。もし私が帰宅演習を完璧に仕上げ、オフセットで30部剃ったとしても、私は多くの在庫を抱えることになったでしょう。今後は仕事の関係もありイベント参加の予定がないため、今年は多分これで終わりです。とはいえ漫画を描くことが楽しかったのも実際で、性懲りもなく再開するかもしれません。

今回未完成に終わった帰宅演習については、必ず完成させます。私は曲がりなりにも帰宅演習のためにない心血を注ぎました。その本をなかったことにするのはともかく、それを買っていただいたことに対しては報いる必要があります。今回買っていただいた方々には何らかの方法で完成版をお渡しすることも考えています。

他に心残りがあるとすれば、帰宅演習は当初は4本立てになる予定だったのが、ページ数とスケジュールの関係で1本削らざるをなかったことです。それがあったら間違いなく落としていたのですが、私としてはいいシナリオが書けたと思うので、本当は一番描きたかった話です。それは今回の「帰宅演習II」の後に続く話で、「帰宅演習II」が中途半端に5ページなのはその名残です。内容は花梨とクレアのお泊り会です。私は帰宅部ではこの2人の組み合わせが好きで、曲も「キミについて言えること」がお気に入りです。しかし、ページ数が12ページになることと、私の作画能力を超えることから、泣く泣く削ることになりました。もし次に漫画を描くことがあれば、これに決めています。

帰宅部以外では、4月期でハマった「あんハピ♪」で描きたい気持ちはあります。ただ、これは原作が動いていることと、アニメが実質的な二次創作であることから、私が描くべきことがあるのかということもあります。ところで同じ牡丹という名前でも帰宅部の牡丹は最強、あんハピ♪の牡丹は最弱というのは面白いですね。この二人が出会ったら一体どうなるのでしょうか?まぁ私は関係ない作品のキャラを出すのが嫌いなのでやりませんけど。きらら系オンリーがあればあるいはと思わないでもないですが、今のところは様子見です。

それともう一つ、今回私はPC作業を主に Linux 上で行いました。InkscapeGIMP は画像編集には十分な機能を備えたソフトウェアです。しかし、漫画を作ることに向いているわけではないのも事実です。私も形状処理屋の端くれとして、Linux 上で漫画制作ができるようにすることに興味があります。漫画作成ソフトについてもそうですが、Linux では漫画に使えるフォントが十分ではありません。形状処理屋としては文字画像からストロークを抽出して既存のフォントとマッチングしてコードにマップする程度は夜飯前なのですが、フォントにはライセンスがあるため難しいところです。商売のあれこれに左右されずに漫画を自由に作るというのは現時点ではまだ難しいことです。私が今後漫画を描くことができるかどうかは不明ですが、別のところから漫画制作を支援したい気持ちはあります。

謝辞

まずは、今回、実力もやる気も及ばない私に発表の場を与えてくださったコミックマーケットおよびそれに関わる人々に感謝します。結果としては散々でしたが、鰭生において得難い経験となりました。当日、未完成にも拘わらず拙作を買ってくださった皆様には著者として最大限の感謝を申し上げます。現実にも帰宅部が生きていることを実感させていただきました。個人に対しては、前回「帰宅第一」を主宰して頂き、私をコミケに導いてくださった難波廃材氏(@yakime4)。yuwinet氏(@yuwinet)には創作の何たるか、オタクの何たるかを学ばせて頂きました。帰宅第一の寄稿者の一人で今回も帰宅部の本を出されたメロン泥棒氏(@melondorobou)は私にとって創作者としての手本でした。当日会場で拙作を受け取って頂きありがとうごうざいました。他の帰宅部創作者の方々も先輩として、あるいは仮想敵として私に影響を与えました。帰宅部をこじらせて「帰宅道」(@kitaku_do)を立ち上げられた氷嚢氏も忘れることはできません。あざらしから帰宅部に入ったといっても過言ではない私にとっては、インターネットあざらし達の存在も大きかったです。最後に、帰宅部アニメに関わったスタッフ、キャストの皆様、そして、帰宅部活動記録を世に生み出された原作者のくろは先生に最大限の賛辞を送って締めくくりとさせていただきます。

最後に

ちなみに今回の記事は10時間かけて書きました。過去の記事では合計で丸一日くらいかけて書いたものもありました。漫画に時間がかかるのは当たり前だ。このBA・KA・YA・ROU!

*1:私の家では2005年くらいまで Win95 が動いていました!

*2:こちらも中毒性が高いアニメです。