あざらしとペンギンの問題

主に漫画、数値計算、幾何計算、TCS、一鰭旅、水族館、鰭脚類のことを書きます。

文化の日だから文化的なことを書こう

といっても大したことを思いつかないので、新しく作ったサイトからネタを引っ張ってきます。おっと、もう gillirb です。いい加減寝ないと、という冗談はさておき、brillig は午後4時を指します、というのもまぁ本当か嘘かは分からない、「鏡の国のアリス(Through the Looking-Glass)」において、ハンプティ・ダンプティが勝手につけた意味です。今は午前4時なので逆にして gillirb というのはいかがでしょうか、という話でした。睡眠薬を飲んでいるので眠いと思いきや意外とそうでもない。

じゃあもう一つ、ハンプティ・ダンプティが言ったことから「かばん語(portmanteau word あるいは単に portmanteau)」という言葉があります。これは二つあるいはそれ以上の言葉を一つの言葉に収めたもので、一種の合成語です。ネーミングで使われることがよくあります。例えば同じくジャバウォックの詩から、slithy という言葉を一つ。これは slimy(ねばねばしている)と lithe(柔軟な、滑らかな)を合わせた言葉と説明されています。もちろん本当かどうか分かりませんが、粘弾性やレオロジーといった物理学と結びつきそうな言葉です。

筆者はこのような単語の合成や韻を踏んだ並びが好きなので結構ネーミングに取り入れたりするのですが、誰も意味が分からず無反応に終わるのが大体の落ちです。まぁ一種のあざらしギャグだと思って華麗にスルーしてください。

と、ここまでは単なる前フリで、今回もおよそ文化に貢献しないであろうことを書きます。

帰宅演習完成

9月頭には出す予定だった帰宅演習が、2ヶ月近く遅れてようやく完成しました。といったものの、印刷後に重大なミスが発覚し、最後まで失敗続きだったことは、同人活動最初にして大きな挫折でした。言い訳をすると、当時は仕事から帰っても何かするより先に眠気が先に来てしまい、翌朝シャワーを浴びて出勤するということの繰り返しで、あまり漫画の方に力をかけられなかったということがあります。

しかし本当に大きかったのは、漫画の仕上げ作業のあまりの手間の多さでした。まずはペン入れしたものを Inkscape に取り込み、枠線とフキダシを作成、台詞を埋め込みました。Inkscape では縦書きができないので、LibreOffice Writer で文を作ってフキダシ画像として保存し画像の二値化から始まり、ノイズの除去、はみ出した部分の消去、汚い線のクリンナップ、線が切れていたりするところの補修、場合によっては描き直しに近いところもあり、そこまでやってさらにトーン貼り、背景の効果、写真の埋め込みなどやることがあまりにも多くありました。これらのほぼすべてをノートパソコンのタッチパッドでやったのですから、ペンタブを使うよりずっと多くの手間というか手への負荷と時間がかかったことでしょう。トーンについても GIMP にはもちろんついてなどいませんので、前回書いたように塗りつぶしパターンとしてインターネットで拾ったものから作りました。まぁ Linux で作業するだけでも普通じゃないので余計に手間がかかったのは仕方がないでしょう。ちなみに筆者は Micr○s○ft と Ad○be が燃やしたいほど嫌いです。

結局これらの作業を終えるのにC90から3ヶ月を要しました。正直それでも帰宅演習のクオリティは私にとって良いといえるものではなかったのが残念です。なるほど、漫画を適当に描くだけならともかく、仕上げて本にして出すということはこんなにも大変なことなのかと思い知りました。この感覚は論文を出版するために校正作業をしていた頃に覚えたものと似ています。また専門書の校正のバイトをしたこともありますが、他人の作ったものに×をつけるのと自分の作ったものを直すので決定的に違うのは、自分のものはつい解ってる気がしてミスに盲目になってしまうということです。完成版を一通り眺めて、「あぁ、やってしまった」と思う部分は多々ありました。最も重大なミスは印刷所で最後の修正をしたときにやらかしてしまったものでしたが。

まぁそんなことはありつつも、帰宅演習は完成しました。未完成版購入者様には無料あるいは代金を補償して実質無料でお渡しするつもりでしたが、今までに捌けたのは10名中4名です。あと1人は判っているのですが、他にもいらっしゃれば twitter の専用アカウントにダイレクトメッセージを投げてください。東京近郊にお住いならば都合のいい場所にお渡しに参ることができます。遠方にお住いの場合も匿名で配送できるサービスを利用しますが、そのためにはスマートフォンが必要です。勝手ながら締め切りは日本時間11月13日0:00までとさせていただきます。なお、12月頃には解像度を落としてですが未完成版と完成版を GitHub 上で比較可能な形で公開する予定です。

帰宅演習を一応完成させたことによって、やっと私は同人活動を始めるところまで来ることができたと考えています。

同人活動について

同人活動はお金をドブに捨てるようなものです。参加費や遠方であれば遠征費を払ってまで利益を出すとしたら、最低でも千冊完売させる程度の力は必要になるでしょう。それだけ打っても利益ははした金でしかなく、一発当てるには万のオーダーで売らないと無理です。もちろん委託やインターネット通販などで全国に向けて売ることはできますが、万という数字はプロの作家が一般的な出版社から出す場合ですら、当たり前に達成できるというものではありません。しかし、プロは原稿料をもらっていますし、出版に際しては印刷した分に対する印税が入ってきます。一方で同人作家は何から何まで自分持ちです。売れなければ赤字と在庫が自分に降り掛かってきます。ご存知かと思いますが、プロの作家で同人活動を並行してやってらっしゃる方々は少なくありません。そこが同人の面白いところで、同人作家として同じ場に立つ以上、素人とプロは本質的に平等です。もちろんスペースの違いなどはありますが、それは実績や話題性などを考慮して決められるので、プロだからといって特別に優遇されるというわけでもありません。少なくとも同人はある人々にとって利益を無視して自らを捧げるに値するものであることは確かです。

私は「お鰭持ち表明」に書いたように手痛い失敗をしました。普通ならそこで自分には無理だと思ってやめるところだと思います。しかしなぜか私は同人活動を続けるつもりでいます。自分でもどうしてそうなったのかは分かりません。あるいは帰宅演習に対する心残りがあったのかもしれません。しかし、それは一応の完成という形で終わらせたつもりです。

それでもなお、何かしら引っかかるものがあり、私はそれが何かを確かめたいのかもしれません。もちろん、就職してお金を得て余裕ができたからというのもあるでしょうが、一方で時間的な余裕は少なくなりました。それでも私には何かをしたいという気持ちが頭の片隅に掻いても取れない痒みのように残り続けています。それが私が同人活動を続ける、というよりこれから始めようと思った理由です。

同人活動の楽しみについては、その筋の先輩である難波廃材氏がブログに書いてくださっています。

C90 お礼と感想 | 廃材置キ場

先の10月30日、私は「よんこま文化祭」という4コマ漫画オンリーイベントに一般参加者として行きました。近頃はアニメ化される作品も多くなったとはいえ、4コマ(ときららフォワードの「がっこうぐらし!」「あんハピ♪」)だけを集めて人が集まるのかという程度には、4コマ漫画というジャンルが比較的にマイナーであることは否めません。そこに集まる人々ですから、やはり4コマが好きだから来ているのだろうという期待はありました。で、行ってみた印象としては、やはりアニメ化強し、ひだまり、ごちうさきんモザ強しでした。とはいえ4コマ漫画のレビューやオリジナル4コマ漫画を出品してる方々もちらほらいました。人数比としてはサークルと一般にそれほど大きな違いがなく、アフターイベントなどもあってか一般でも最後まで残っている人が多かったです。最後はもう誰がサークルなのか一般なのか分からなくなっていましたね。私も時間が余ったのでプレゼント用の色紙を1枚描かせていただきました。まぁもらっても誰やこいつという感じでしょうね。椿ちゃんの色紙は欲しかったのですが、私の前にいた人が手に入れていきました。ちなみに私がゲットしたのは Rodanthe* のアルバムと既に持っている漫画2冊でした。Rodanthe* はBDもついていたのですが、値段に差があるので別にされ私の手には来ませんでした。「日本シリーズ北海道遠征三戦全敗カープファン」様、忘れることはないでしょう。

世の中にはいろいろな同人イベントがあるということを知ったのはいい経験でした。4コマ漫画は好きで遠征してみたいという気持ちもあり、3月に開催される「よんこま小町」にサークル参加を申し込もうと考えています。というのは随分と先の話。

今度の11月13日(日)に池袋で開催されるサンシャインクリエイション SC2016 Autumn にあざペン(サークル:haucl4)参加します。twitterで申し込んだことは言ったものの、発表が直前となってしまって申し訳ありません。

一つは以前少し名前を出した「帰宅演習 Appendix」で、「帰宅演習・補遺」と改題して鉛筆画と文の絵本的なものとして出す運びとなりました。元々は帰宅演習本編に入れる漫画の予定だったのですが、諸事情(これまでの経緯から明らかでしょう)によりこのように変わりました。元々アナログあざらしなので、鉛筆だけで仕上げるというのは自分に合っていると思います。絵もそうですが本も手作りやってみたいと考えており、体裁としては特殊紙を表紙に用いた同人小説に近いものにするつもりです。

もう一つは「あんハピ♪」の二次創作漫画「Partageons l'Oiseau Bleu」で、こちらは逆にフルカラーになります。嘘だろおい!締め切りは7日、死んでいます。よんこま文化祭ではそもそも4コマ漫画でないのにある意味で破格の待遇でしたが、C90の時点で判っていたこととはいえ、あんハピ♪の二次創作は帰宅部と同程度には希少と言わざるを得ません。いわゆるワンドロも参加者は少ないです。原作、アニメとも愛している作品として、悲しいというよりは探しものが見つからずもどかしいという気持ちです。なら私が描けばいいじゃないか、ということで勢いで申し込みましたが、仕事も含めなかなか厳しいのが現状です。ギリギリがんばれHAPPINESS!

あとどうせ余るので帰宅演習本編も持っていきます。

さらに、私はC91で頒布予定(といっても落選したので委託先探し中)の NEW GAME! 合同誌に4Pの4コマ漫画「はじめてのOpenGL」を寄稿させていただく予定です。これさえ読めば3Dグラフィックスの基礎が分かる、ということは多分ありません。少しは触れますが。

とまあこんな感じでしばらくは同人活動をやっていきたいと思います。

サンクリの詳細を以下に書いておきます。

開催日: 2016年11月13日(日)
場所: 池袋サンシャインシティ
配置: Bホール カ17b
頒布予定物:

  • 帰宅演習・補遺: 帰宅部活動記録二次創作本。クレア先輩が花梨の家にお泊り。
    本編モノクロ12p 200円
  • Partageons l'Oiseau Bleu: あんハピ♪二次創作本。幸せって分けられるもの?
    本編カラー12p 300円
  • 帰宅演習: 帰宅部活動記録二次創作本。
    本編モノクロ20p 単体300円、補遺とセットで400円

プログラムを組むこと

敢えて「プログラミング」という言葉を使うことを避けました。私の現在の職業は、一応「プログラマ」ということになっています。一応というのは、自分の仕事として「数理エンジニア」という別の面もあることから、世の中で言われているところでは「プログラマ」が一般的という程度の意味です。私の仕事を大雑把に言えば、アルゴリズムを作って実装することです。無論、私が作る以上は業界最速最良を目指してはいます。仕事の内容についてはここでは言えないのですが、基本的には3Dエンジンを作っています。エンジニアだからエンジンを作っているのは当たり前のことです。

「プログラムを組む」と言ったのは、プログラミングという言葉がコーディングと混同されていると感じるところがあるからです。「プログラム」するというのは、コンピュータに限らず一般的な行為だと私は考えています。それは、物事を上手く動かす仕組みを作ることです。その仕組みを実現することを「組む」と言うことにして、我々は「プログラムを組む」のです。故に理屈をブラックボックスにしてコードを書くことはプログラムを組むことには当たらないと私は考えます。プログラムを組むスキルというのは、言語やツールを多く知っているよりももっと基本的で重要だと思うのです。最近流行りのプログラミングという言葉からはそれが感じられないので、敢えてこのように言わせてもらいました。

私は元々大学では計算複雑性理論と行列解析と統計物理の間の怪しい領域をやっていたのですが、今の仕事では様々なアルゴリズムやデータ構造と行列計算や数値解法を使うので、ある意味天職に当たったと思います。また、3Dを画面に映すために先の OpenGL を使うので、ちょうどいいネタがあったのはラッキーでもありました。もっとも私もまだまだ勉強中ですが。また形状処理の計算は基本的に重いので、高速化のためにデータの疎性を生かしたり、メモリ効率やキャッシュヒット率を高める工夫をしたり、命令のレイテンシやスループットを意識したり、アセンブラのような低レベルのプログラムをやっていると、自分がパソコンではなく機械を動かしているという気分になれるのも楽しいです。それはかつて、DOSで非常に限られたリソースしか使えない状況でプログラムを組んだり、PLA 上にプロセッサを実装して簡単な電卓を作ったりしたときを思い出します。

私は高校までは所謂プログラミングをしてきたのですが、大学では授業以外でほとんど触れていなかったので、自分にそれができるのか不安だった部分もあります。そもそも大学や学会には私よりずっと、あらゆる意味でプログラムができる人がいたので、私ごときがプログラムできるなどと言っていいのかというところもありました。しかし実際やってみると、案外自分も捨てたものじゃないなと思うことができました。結局のところ私は大学で「プログラムを組む」ことを学問研究を通して知らず知らずに学んでいたのです。私は世の中の役に立つことが嫌いですが、まぁこれはこれでいいんじゃないかと思いました。

私は同人作家としてやっていきたいと言いましたが、プログラマの端くれとしてもやっていきたいのも確かです。後に触れるサイトに載っていますが、次のようなプロジェクトを来年あたりに始めることを考えています。

  • MeSugar : 解析用2D/3Dメッシュ作成ツール。ソルバーから情報を取って適切なメッシュの動的生成も作りたい。
  • BLAS4me : 自分用BLAS実装。数万次元程度の密行列と数十億成分程度の疎行列に対応したい。
  • OpenSEAL : スケーラビリティの高い線型計算ライブラリ。直接法から反復法、例えば、PCG、 Bi-CG系、GMRES、IDR、Arnoldi / Lanczos 法、LOBPCG やそれらの組み合わせなど。
  • Copepoda : Linux でも動く漫画作成ソフトがあるといいなあ。名前はカイアシ類と Cope + Ad○be から。燃やそう君のPSD
  • Akabane : 帰宅ゲーム。なぜ赤羽かはお察しください。
  • Goggle Aqua : Web水族館。モデリングが大変なのでまずは動画からの機械的構造推定ツールを作ろう。

新しいウェブサイト

2017/3/31: 現在スタートに向けて準備中です

というわけで新しいサイトを github.io に作りました。今の所はジョークサイトですが、主として上記活動の記録を書き残すことを目的としています。一方でこちらのブログは今まで通り数学、計算機科学などの解説記事や漫画の告知などを書く、というふうに使い分けていく予定です。

azapen6 (in Engrish)
あざペン非公式サイト

以上、文化的なことを書きました。